その戸籍は現在存在していません
ようやく目隠しが外され景色が開けてきた。長い間(30分程度だったかもしれないがそう感じた)暗闇に覆われていた視界は唐突に現れ、淡い光でも目が痛くなってくる。

莉縁が連れて来られた場所は小さな個室だった。ところどころに着替えや玩具などがぶちまけてありお世辞にも綺麗とは言えない。壁は小さな桃色の花柄で少しは華やかに見えるのだが、それも煤けて古臭く見える。後はそこらに机や椅子などの生活用品が置いてあるだけだった。

目の前の少年、恐らく莉縁を運んだ人物だろう彼は人間とは思えない異形の容姿をしていた。

髪は快晴の空よりも真っ青。目は突き刺すような金色。莉縁は息を呑む。噛まされている布の端から涎が垂れた。

「園崎莉縁」

少年はさっきと全く同じ声で莉縁に喋りかける。莉縁はびくりと体を震わせる。

「俺の名はレッド。後ろの女はスカイだ」

レッドと名乗った少年の金色の瞳は虚ろだった。莉縁が言われるままに後ろを向くと、そこには長い血のように真っ赤な髪を下ろし目に黒い布を当てている女が立っていた。

前は見えるのだろうか、そう莉縁が思っていると「大丈夫だよ」とその女、スカイは呟いた。

「私、耳はいいもの。何が近づいて来て何をどうすればいいのか、そしてあなたの心の声がぜーんぶ聞こえてくるの」

よく見ればスカイも自分と同い年に見えた。レッドといい、彼らは何者なのだ。

「園崎莉縁、これから俺たちがする質問にyesかnoのみで答えろ、いいな」

レッドが莉縁に告げた。突然のことに訝しみながらもこくりと頷く。レッドからの質問攻めが始まったのだった。
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