世界は私達に優しくない
「ねぇねぇ凌空」
「んあ? なんだよ」
「これどっちがいいかな?」
ゲームを始めて一時間強。既にもう飽きてしまった凌空は、由希の座る後ろのベッドで雑誌を読みながらゴロゴロしていた。
そんな凌空に、由希は画面を指差し後ろを振り向く。凌空は起き上がり、その指差す画面を見て顔を顰める。
「"幸村が行く所だったら、どこまでも一緒に行くよ"か、"幸村の言う通り、お城に残る"どっちがハッピーエンドになると思う?」
「どっちでも一緒だろ…」
「一緒じゃないから! ハッピーエンドになるか、グッドエンドになるかのかなり重要な選択なんだからね!」
「はいはい、そうですね~…」
熱く力説する由希に、凌空はくだらないと再び寝転び、先程閉じた雑誌を開き読み始めた為、由希はそんな凌空の腹へとチョップを入れ一喝する。
「それで、凌空だったらこういう場合どっちで嬉しくなる?」
「俺? そうだなー…言う通り城に残ってくれる方が良いけど」