世界は私達に優しくない
「飲めば楽になるんだよ?」
「…ら、く…に」
「そう。何を飲めばいいか、キミは分かってる筈だ」
頭を振り否定していた筈の凌空の様子が、徐々に変わりつつあった。
体の震えは止まり、頭を抱えていた腕はダラリと力を無くし、ゆっくりと後ろに振り返えり、虚ろな瞳で後ろに居るだろう人物を見据え――
「ほぉうら、飲んでしまえばいい。…桜木由希の血を――」
その男の言葉が合図となり、次の瞬間…凌空は由希を押し倒されていた。