世界は私達に優しくない
 
「実は昨日新しいゲーム買ったんだー!」

「由希…それってまさかとは思うけどさー」

「勿論! 恋愛シュミレーションゲームだよ?」

「またかよ…」

「またかよって酷い! 乙女ゲームは私のバイブルだよ?! 聖書聖書!」

「はいはい」


ぷくりと膨らんだ由希の頬を突ついて、凌空は溜息を吐く。


「ということで、今日は私の部屋に6時に集合ね!」

「まじかよ…」

「まじです! 今日私の部屋に来たら、じゃじゃん! もれなくバームクーヘンとジュースが付いちゃいまーす」

「行く! バームクーヘンがあるなら喜んで行く!!」

「やったー! 本当に凌空はちっちゃい時からバームクーヘンが好きだね」

「おう! バームクーヘンがあれば何もいらない位な!」


バームクーヘンという言葉に行くと側頭した凌空に、由希は嬉しそうに手を鳴らして飛び跳ねていた。

凌空の大好物がバームクーヘンだと知っていた由希は、バームクーヘンの名前を出せばOKしてくれるのを知っていた。

その為由希は、度々こうしてバームクーヘンという餌を使って、凌空という魚を釣り上げている。

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