世界は私達に優しくない
 

(傷付けた)

(私が…凌空を傷付けてしまったんだ)


横を通って去って行った時、俯いていた凌空の顔は、今にも泣きそうなのを堪える物であった。


(きっとそんな表情にさせたのは――紛れもなく私に違いない)


由希は傍にあるカーテンを握り、カーテンが閉まった向かいの窓を見つめた。

渡そうと隠していたプレゼントは結局渡す事が出来ず、今も机の下に隠されたままである。


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