世界は私達に優しくない
 
「それじゃあ六時に私の部屋に集合ね! あっ、お風呂も入って来てよー?」

「はいはい、分かってるよ」


自分達の家の前に着いた二人は、それぞれ玄関の取っ手を掴み、言葉を交わした後家に入って行った。


「お母さんただいまー! 今日凌空と一緒に徹夜でゲームするね!」

「おかえり~、あらそうなの? でも明日休みだからって、あんまり遅くまで頑張っちゃ駄目だからねぇ?」

「はーい! あっ、バームクーヘンあったよね?」

「ちゃんとあるわよー、ジュースと一緒に用意しておくから」

「本当?! お母さんありがとー!」


靴を脱ぎ棄て大慌てでリビングに飛び込んだ由希に、由希の母親はエプロンで濡れた手を拭いながら由希を出迎えた。

大はしゃぎの由希に、由希の母親は笑みを浮かべ、そんな由希の頭を撫でる。

そして母親の了承の言葉に、由希の興奮はピークに達し、目を輝かせて「着替えて来る!」とリビングから飛び出し、自分の部屋へと続く階段を駆け上って行った。

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