世界は私達に優しくない
 
「今日は十二時までゲームして~、十二時になったら凌空にお誕生日おめでとうって一番最初に言うでしょ? それでプレゼント渡してー……よし完璧!」


部屋へと飛び込んだ由希は、自分の机の前で指折り数え、机の上に置いてあるプレゼントの袋を確認する。

実は今日6月15日は、凌空の誕生日の前日。十二時丁度に、17歳になる凌空を最初に祝いたいと、由希は前々から計画をしていた。

昨日ゲームを買ったというのは本当だが、別に今日すぐゲームをプレイする必要等ない。

ただ、何の疑いもなく凌空を自分の部屋へと呼びたかっただけだ。

前から毎年代わり映えのしない凌空への誕生日に、由希はつまらなさを感じていた。

凌空の友達と同じ様にプレゼントを渡し、みんなと同じ様に「誕生日おめでとう」と言う自分。

みんなと同じ自分が、由希は嫌だった。

自分は凌空にとって特別でありたい。

プレゼントの袋を持ち上げ気持ちを引き締めた後、凌空にバレないよう机の下の隅にそれを隠し、由希は部屋から出た。


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