世界は私達に優しくない
凌空と二クラス程離れたクラスに入った瞬間、大きな溜め息を吐き肩を落とし、自分の席でもある真ん中の後ろから二つ目の席に座り込んだ。
既に半数近く居るクラスメイトは、負のオーラ全開の由希の姿に驚いて居た。
普段から悩み等ないと言われる程学校でも明るく、まず笑って居る姿しか見た事がないとまで言われて居た由希が、肩を落として椅子に座って居る。
遠目からでも何か合ったのは明らかであった。そして近寄り難いオーラを放ち、遂には机に項垂れる様に倒れ込んでしまう。
「由希、アンタ朝からどうしたの?」
「んー…ああ、りえかあ~。おはよう」
項垂れる由希の前に来た友達のりえに、顔だけを上げ右手を力なく振る由希に、りえは「おはようじゃないから…」と溜め息を吐き前の席の椅子に腰掛けた。
「何かあったんでしょ?」
「別に何もないよ~、何時も通りっ」
「何時も通りじゃないから聞いてんでしょう、が!」
ビシッと額を叩かれた由希は、不満そうに叩いたりえをジト目で見上げた。
「何も叩かなくてもいいじゃん…」
「由希が話さないからでしょ。自業自得!」
「う"~…なんか違う」
腕に顎を乗せ口を尖らせた由希は、視線だけで教室を見渡した。
皆ちらちらと此方を気にしており、由希と目が合いそうになる瞬間直ぐに逸らし、気にしていない素振りを見せる。
しかしその姿があまりにもあからさまで、流石の由希もその様子の違いに気付いてしまう。