世界は私達に優しくない
「御馳走様でした! ふー、お腹いっぱい」
「お粗末さまでした。あっ、由希もう六時過ぎちゃってるわよ? 凌空君もう由希の部屋に来てるんじゃない?」
「あ! 本当だ、んじゃ行ってくるねー」
「ちょっと待って由希。バームクーヘンとジュース、忘れてるわよ?」
「あ、忘れてた。バームクーヘンないと凌空が拗ねちゃうとこだったよ!」
バームクーヘンとジュースの乗ったトレイを母親から受け取り、由希は足早に自分の部屋へと向かう。
階段を上りながら由希は、お風呂にも入ったしご飯も食べたと、最終確認を頭の中で行い、階段を上って右の突き当りにある自分の部屋のドアを開けた。
「あ、由希おせーよ。俺ちゃんと五分前に来たんだぞ?」
「五分前って言っても窓から入って来るんだから、もっとゆっくりでも良かったのに」
「何言ってんだよ! 例え一分もかかんなくても、約束の五分前には来るのが礼儀だろ?!」
「そういうもん?」
「そういうもん!」