世界は私達に優しくない
 

由希の机に頬杖を着いたりえは、「ふーん」と話を聞く体制を見せた為、由希もぼそぼそと話し始めた。



「昨日までは、多分普通だったと思う」

「うん」

「でも今日の朝、いつもは玄関先で待っててくれるのに…今日は待っててくれなくて」

「……」


ヴァンパイアの事は話せないが、話せる範囲で由希は話そうと思った。少しでもどうして凌空が朝怒っていたのか、何か解るんじゃないかと思ったからだ。


「それはいいんだけどね?! けど、先に行っちゃった凌空を追いかけて行ったら…無視された」

「無視? アンタの幼なじみ君が?」


驚いたと目を見開いたりえは、「気付かなかったとかじゃなくて?」と首を傾げたが由希は首を振る。


「おっきな声で名前呼びながら腕掴んで、漸く気付いてくれた」

「……」

「でも何って、気付かなかったって。それも面倒臭そうに…」


(あの時の凌空の瞳は、今まで見た事がない位冷たい物だった。やっぱり昨日、私が知らない内に何かしてしまったのかもしれない)

(部屋に勝手に行たからとか、考え出したらキリがないどんどん悪い方向に向かってしまう…)


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