世界は私達に優しくない
 
しかしその日の放課後、由希の教室に凌空が来る事はなかった。

待っていた由希は、我慢出来ず凌空の教室に逆に迎いに行ったのだが、そこに凌空の姿はない。


「あ、あの…凌空、何処に行ったか分かる?」

「へ、凌空? アイツだったら結構前に帰ったけど…」


教室で帰る準備をして居る男子にそっと聞くと、返って来た言葉は由希にショックを与える物だった。

その場で固まる由希に大丈夫かと聞いて来た男子にハッとし、焦りながら礼を告げ廊下を走って教室に戻る。


「な、んで…」


(なんで凌空は私に何も言ってくれなかったの?)

(先に帰るなら、一言言ってくれればよかったのに…)


自分の机に両手を着き、バクバクと五月蝿い心臓を落ち着かせ様と深呼吸するが、初めて体験する事で全く落ち着く気配を見せない。


(みんな、中学生位になったら、私と凌空は離れると思っていたと言っていた)

(小学生位までなら、みんなそれなりに仲が良くても普通だと言う)


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