世界は私達に優しくない
 
音もなく突然現れたリズシアに、身構えて居なかった由希は驚きで跳ね上がった心臓を落ち着かせ様と努める。


「あー、別に気使わなくていいけど? キミ達人間から見れば、自分がバケモノだって分かってるから」

「べ、別に…バケモノなんて思ってませんけど」

「あ、そう? それならそれでいいんだけどさー」


一瞬雰囲気の変わったリズシアに驚きながらも、気付いたら何時もの様な雰囲気に戻って居た為、それ以上特に気にはしなかった。


「あ、あの…何か用ですか?」

「用? ああ、特に有る様なない様ななんだけどねー」

「は、はあ…?」


ベッドに腰掛け自分の長い髪に触れながら、気のない言葉を告げるリズシアに、由希はなんとも言えない表情を浮かべ首を傾げる。


「忠告、しに来てあげたって感じかな~?」

「ちゅうこく?」

「そう。ちゅ・う・こ・くっ」


「俺優しいからさー」と笑ったリズシアは、今度は一変真剣な表情で視線を向ける。


「そろそろ危ないよ…荒川凌空」

「え……」


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