別れの理由
窓から差し込む朝陽にも、全く気づく様子もなく、
キミは、
まるで微笑むかのように寝息をたてている。
朝陽が窓を叩く音のない音色。
それは、二人でいるから聴こえる、朝の音。
一人では、絶対に聞こえない澄んだ風の音。
その音を耳にしながら、
先にベッドから抜け出して、
俺は煙草をふかしながら、今にも笑い声を上げそうなキミの寝顔を、
毎朝、しばらくの間、静かに見つめている。
そして、
「おいっ朝や!」
俺が、キミが抱きかかえている白い掛け布団を乱暴に捲り、
顔にかかった長い黒い髪を少し整えてやると、
キミはやっと目を覚ます。
「おはよ……」
それなのに、眩しそうに目をこすったキミは、また眠りにつこうとするから。
「こらっ寝るなっ」
仕事着に着替えながら、俺は、キミのお尻を軽く蹴り上げる。
「いたっ…」
それをせずに顔でも洗いに行くと、
キミはその間に夢の続きを見かねない。
ようやく重い身体を起こしたキミは、
二・三分ベッドに座ったままボーッとして。
俺の、少し大きめのパジャマの胸元が少しはだけ、
そこから白い乳房が見え隠れしたままで。
俺が、たまらなく幸せに感じる時間。
自分しか知らないキミの姿。
キミを…
そう、キミを俺は愛していた。
そして、
今も愛している。
誰よりも――
こんなにも――