1秒ごとに、君が愛しくて。
時計の秒針が進む音が聞こえる。
早かったように思っていたけれど、遅く感じる。
『…更紗お嬢様』
『止めて、もうお嬢様じゃないわ』
『…よろしかったのですか?』
『…いいのよ。これがきっと、一番の良策だわ』
<愛しい貴方へ。>
『…更紗様…』
<約束を守れなくてごめんなさい。>
<貴方はきっと、怒っているでしょうね。>
『…これは、夢だったの。
…そうでしょう?神山【かみやま】』
<優しさにあふれた貴方がとても大好きでした。>
『……そう、ですね…』
<私のことはどうぞ、お忘れになってください。>
『…さあ、神山。関空に向かって』
<私は願っております。>
<どうか、貴方に悠久の幸せが訪れますように>