半分こ。


「殿ーー!!」

一条城には この言葉だけが響いていた。
ここは1864年。
京都。

桜の花が満開を迎えている4月である。

庭には桜が咲き誇り
鳥のさえずりが聞こえる。
だがこの城、一条城には
お殿様である一条風雅の姿は無かった。

風雅は家出したのである。


穏やかな春の日。

この場所だけは いつも大荒れだった。


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