半分こ。
三
今日は風が強く生憎の雨だった。
一条城の庭の桜は
若葉が青々と しげっており
夏の始まりを とうとう告げていた。
外を眺める度 切なげに目を細める。
おろしたままの髪は
癖が付いてしまっていて、
部屋には放置されている多くの文が
乱雑に散らばっていた。
業務は ほとんど
隼人か家臣がやってくれているので
あとは りん宛に届いた手紙
と言うことになる。
文の多くは
不満やこちらの様子を伺うもの、挨拶等。
同じような内容に
いつも書く気が失せて
遊びに行くのがお決まりだった。
だがこう雨風が強いと
外出する気にもなれない。
彼女にとって
これほどの憂鬱は無かった。
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