半分こ。
一方
大荒れの元凶、
風雅は新選組の屯所にいた。
隊士達とは
彼らが京都に上って来たとき
道に迷った局長を
送り届けたのがはじまりだった。
「よ。」
風雅はふすまを静かに開ける。
風雅は目鼻立ちが整っている。
だが背は意外に低い。
髪は高く上げても腰まではあった。
右目は見せまい、
と付けられた眼帯が
`彼'はとても似合っていた。
「おっ!!…りんちゃん、久しぶりだな。」
近藤勇が軽く手を上げる。
先程話した
道に迷った局長というのはこの男の事だ。
「だから、その呼び方はやめてくれって。」
風雅は呆れたように息をつく。
「いいじゃないですか りんさん。」
近藤に変わって
一番組 組長の沖田総司が言う。
日の光を浴びてか
彼の髪はいつも茶色く見える。
新選組の隊士達は
皆、風雅の事を`りん'と呼ぶ。
何故なら それが彼の
いや 彼女の本名だからだ。
風雅は女の子なのだ。
これが
一部の人しか知らない彼女の秘密だった。
「だから、総司も呼び方…
言いかけた時、外から音がした。
何の前触れも無くふすまが開く。
「りん!」
この男は副長の土方歳三。
艶やかな髪に鋭い目付き。
役者のようにすっきりとした顔立ち。
土方は隊士に厳しくりんには甘いので
近藤をはじめとした隊士達は困っている。
「土方さんっ!!」
この2人は仲が良い。
だが土方は
りんを子供のように扱う時がある。
彼はりんの頭を撫でた。
「久しぶりだなぁ…りん!」
「ちょっ…止めてください。土方さん!」
りんは髪を直しながら
逃げるように部屋を出た。
→