半分こ。



柔らかな日差しが朝を知らせる。
桜の花弁がりんの鼻の上にのった。

4月。

晴天。


りんは花弁を払うと欠伸をした。

壁に寄りかかって朝の余韻に浸る。

(こんな事をしてはいけない。)

布団をたたみ顔を洗いに行く。

彼女は
何年か前に死んだ父の方針、
`自分の事は自分でする'
を1日も欠かさず守り続けている。


漆黒の眼帯は 外されていた。

代わりに白い晒が
右目を隠すように巻かれている。


幼少の頃
浪士に右目を切られたのだ。
死にそうだったりんを父が救ってくれた。

母も早くに病気で亡くなっているため
今は
大きな城を沢山の命を
一手に抱えている。


りんは顔を洗い終わると
着替えて眼帯を付け、町に繰り出した。


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