体育館12:25~私のみる景色~

「い、イタいっ!」


 かなり強く腕をひかれたから、掴まれた部分がすごく痛い。


 そんなに強く引っ張らなくたっていいのに!


 というか、私なんかした!?


 そう思って、私を掴んでいる腕をたどるようにして目線をあげてびっくりした。


 だって、そこに立っていたのは、見紛うことなき、中原先輩だったから。


 ぽかーんと口をあけたまま、中原先輩を見つめてしまった。


「ふっ。ひでえ顔」


 中原先輩のバカにするような声で我に返って、慌てて口を閉じた。


 というか……、中原先輩には正直会いたくなかったんだけど。


 昨日学校まで送ってもらったのに、『もう関わらないで』なんて言い逃げしちゃったわけだし。


 ものすごく気まずいっ!


 そして、腕もいたいっ!!


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