体育館12:25~私のみる景色~

 すると先輩はさっきの表情とはうって変わり、意地悪そうな微笑みを浮かべた。


 腕組みなんかして壁に寄りかかって、いかにも偉そうな態度。


「ずーっとお前を待ってたんだけど? あ・き・ちゃん?」


 にやーっと笑ったかと思ったら、一歩ずつ近づいてきた。


 なんか中原先輩、めっちゃ悪い顔してるんだけどっ!


 悪い予感がして、顔がこわばる。


 条件反射で、中原先輩が近づいた分だけ私も後ろに下がった。


「なんで逃げんの? さっき逃げねえって言ったのはウソなわけ?」


「いやっ、そんなんじゃなくてっ! 近づいてくるから距離を保とうと……っ!」


 そんなやり取りをしてるあいだにもじりじりと距離は縮まってきていて。


 まずい、と思ったときにはもう遅かった。


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