体育館12:25~私のみる景色~

 とんっ、と背中にかたくて冷たい何かがあたって。


「お前、自分から追い詰められてくれてありがたいんだけどさ。バカだろ」


 先輩の言うとおり、私ってほんとにバカだ。


 ふいをついて教室の方に走ってたら、もしかしたら逃げられたかもしんないのに!

 
 後ろにあるのが壁だってことには、すぐ気がついた。


 目の前には中原先輩が迫ってきていて。


 先輩は閉じ込めるみたいに私の両脇の壁に手をついてしまった。


 つまり私は、もう逃げられない状態。


「う、うわっ、なんなんですかっ!?」


 すごく顔が近いんだけどっ!

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