体育館12:25~私のみる景色~

 先輩はそう言ったきり、黙ってしまった。


 何かを堪えるように、だけど何かを言いたそうに。


 すると、私を掴んでた手を優しく解放した。


 かと思ったら、すぐに私の後ろ頭に手を差し込んできて。


 意を決したかのように、耳元で囁いた。


「お前が可愛すぎて、襲いそうになったから言ったんだけど……?」


「え!?」


 え、なんなの、どういうことっ!?


 やけに色っぽい声だった気がするんだけどっ。


 パニクってる私の反応が面白かったのか、クスリと笑う声が耳の近くから聞こえた。


 そして。


「っ……!」


 先輩は、あろうことか私の耳に息を吹きかけた。



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