体育館12:25~私のみる景色~
先輩の表情は切なそうにも見えて、なんだか目をそらすことができない。
その間にも先輩の顔はゆっくりと近づいてきていて。
「あ、え? 何を……っ」
「いいから、ちょっと黙ってろよ」
先輩は大きな両方の手のひらで、私の頬をまるで壊れ物でも扱うかのように優しく包み込んだ。
鼻と鼻がぶつかりそうなくらいの距離に、先輩の顔がある。
間近で見る先輩の顔は、やっぱり男らしくてキレイ。
だけど、あまりの近さに恥ずかしくなって、耳まで真っ赤になるのが自分でもわかった。
というか、先輩はほんとに何するつもりなの……?
首を少し傾けて顔を近づける先輩に少しこわくなって、思わずまぶたをぎゅっととじた。