体育館12:25~私のみる景色~
沈んでいく太陽を見ていたら、指導室のドアが開いてりんちゃんが入ってきた。
出て行ってから、15分くらい経ったのかな。
生徒をそんなに待たせるなんて、って思ったけどいろいろ考えるいい時間になったと思う。
「わり、教頭に捕まって遅くなった。……お、だいぶ泣き止んだみたいだな?」
涙はもうほとんど止まっていて、少しだけ目の周りがヒリヒリして痛い。
目の下の涙袋をそっと触ると熱を持っていて、腫れぼったい感じがする。
これは、いつも以上の相当なぶさいくになってるな……。
「ふふふ、いいですよー。いっぱい泣いたらスッキリしましたし」
話を聞いてもらうだけで、心って軽くなるものなんだね。
これからどうするかなんて、今はまだ考えられないけど。
とりあえず、苦しかったことを吐き出せてよかったかな。
「そうか。……あ、そうだ。ホレ」
フッと優しくりんちゃんは笑って、何かを私の方に投げた。