体育館12:25~私のみる景色~

「うわわ!」


 ギリギリセーフっ!!


 投げられたものは、なんとか落とさずにキャッチできた。


 ……って、コレ。


「それで目冷やしとけ。宮下、今かなりブスだから」


 クククッと喉を鳴らして、意地悪く笑うけど。


 でも、やっぱり優しい。


 だって、私の手の中には、ほんの少しぬるくなった私の大好きなりんごジュース。


 わざわざ、買ってきてくれたんだね。


 りんちゃんの優しさに、止まりかけていた涙がまた出てきちゃった。


「りんちゃん、ありがとうございます……」


 また鼻をぐすぐすさせ始めた私を見て、りんちゃんはちょっぴり焦ってたみたい。


 目元にジュースをあててみたら、熱を帯びたまぶたにはちょうどいい温度で。


 ひんやりと心地よかった。


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