体育館12:25~私のみる景色~

 そのあとは、りんちゃんとしばらくくだらない話をして。


 たくさん笑って、イヤなこととかを一瞬でも忘れることができた。


 仕事はいいのかな、なんて思って聞いてみたけど、大丈夫の一点張りで。


 心配になったけど、りんちゃんの優しさに甘えさせてもらった。


「あー。もう暗くなってきたし、そろそろ帰れ」


 窓の外を見たりんちゃんに言われて、そんなに時間が経ったんだって思った。


 電気がついてたから、外がもう薄暗くなっていることに全然気がつかなかった。


 結構長い時間話していたんだなあ。


「それじゃあ、さよなら。今日はありがとうございました」


 ぺこりと頭を下げる。


 りんちゃんの前でわんわん泣いたことを思い出して、いまさら恥ずかしくなった。


「おう、何もアドバイスとかしてやれなくて悪いな。恋愛も青春のうちだけど、授業はちゃんと出ろよ? んじゃ、気をつけて帰れ」


 最後は先生らしく、しっかりと注意されちゃった。


 それに、私が佐伯先輩のことを好きだってカンペキにバレちゃったよね。


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