体育館12:25~私のみる景色~

 そんなふうに願いながら授業を受けて。


 気がつけばもう、帰りのホームルームの時間だった。


 担任のりんちゃんは、バスケ部の顧問だから今日はいない。


 だから、代わりに副担任がホームルームをするみたい。


 抑揚のない声で明日の連絡事項を話している。


 それをぼーっと聞き流していると「えー、ついでに今日行われたバスケ部の県予選だが、残念ながら一回戦敗退だったらしい」なんて声が聞こえた。


 途端にクラスの女の子は小さな悲鳴をあげて、バスケ部のことについて口々に話しだした。


 私は流れる雲の行方を目で追っていたけど、その言葉を聞いて何が何だかわからなくなった。


 まさか、あんなにバスケのうまい佐伯先輩が一回戦敗退だなんて思ってもみなかったから。


 でも、調子悪そうだったって言ってたし……。


 だけど、これで3年間捧げたバスケ生活が終わっちゃったんだね。


 なんだかあっという間だったし、全然実感がわいてこない。


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