体育館12:25~私のみる景色~
私がいるのは体育館の入口の真上よりほんの少し離れたところ。
先輩たちが見上げたりなければバレることはない場所。
よし、見つかる前にギャラリー出ちゃえばいいよね。
鉢合わせしないように、階段のとこで先輩たちがいなくなるのを待って教室に戻れば……。
計画を練って後ろ向きに一歩下がった時、思わず持っていたお弁当を落としてしまった。
あぁ~!
握り締めてたのになんでこういう時に限って落ちるかな……。
私は冷や汗をだらだら流しながら、その場で固まっているしかなかった。
誰もいないはずの体育館、それもギャラリーからゴトっという鈍い音がしたから不思議に思ったのか、佐伯先輩と中原先輩は上、つまり、私がいるギャラリーの方を見上げて……
「「あ」」
と、声をハモらせた。