体育館12:25~私のみる景色~

 照れたように頭を書く先輩の耳が、ほんのりピンクに染まっているようにみえる。


 なんだか私、今すごいこと言われたような……?


 佐伯先輩の言葉を理解して、ボンッて音がしそうなくらい、顔が一気に赤くなったのがわかった。


 頭でお湯を沸かしてるみたいに、顔だけ異常に熱を持ってる気がする。


 佐伯先輩もなんだか顔が赤いような気がするけど、やっぱり無自覚の天然タラシはタチが悪い。


 お互い気まずい空気のまま、私が降りる駅に着いてしまった。


「じゃあ先輩、さよなら」


 降りる間際にそう言ったら「気をつけて帰れよ」って言ってくれた。


 なんかもうそれだけで、幸せすぎてやばいっ。


 軽くおじぎして電車を降りるとすぐに扉がしまって、電車は動き出した。


 あっという間に小さくなっていく電車を見て、佐伯先輩もどんどん離れていくなあなんて思って。


 電車が見えなくなるまでその場を動けなかった。


 その時、スカートのポケットに入れていたケータイが震えた。


 振動が短かったから、多分メールかな?


 そう思ってポケットに手を突っ込んで、ケータイを取り出す。


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