体育館12:25~私のみる景色~
「ほれ、宮下。放心してないでなんか言え」
りんちゃんは私の手から抜き取った答案用紙を棒状にまるめて、私のほっぺをペシペシと軽くたたく。
自分の受け持つ英語の点数が1番低かったからか、少々お怒りのようだ。
「はっ……、えっと、なんでしたっけ?」
何を聞かれてるのかはわかってるけど、まだ現実についていけないし、こんな現実認めたくない。
あえてすっとぼけた返事をしたら、りんちゃんに睨まれた。
……こわいよー。
りんちゃんはひとつ、大きなため息を吐いた。
「なんとなく察してるけど、勉強した? つーか、テストって知ってたか?」
「……テストがあるって、忘れてました」
観念して、本当のことを言った。
佐伯先輩のことで浮かれてた私は、テストのことなんてすっかりさっぱり忘れちゃってたんだ。
「宮下、追認考査確定」
……ですよね。
私の学校は、40点未満の点数で赤点。
しかもそれが4教科以上あると、追試確定なんだ。
私、追試とか初めてなんですけど。