体育館12:25~私のみる景色~
もはやみーくんはアイドル的な存在だ。
帰国子女だし、対応は大人だし、人当たりもよくて。
それに佐伯先輩や慶ちゃん先輩に劣らないくらい、ルックスは整ってる。
……ちょっと腹黒いところもあるんだけどね。
そんなみーくんの隣りの席になりたい女の子たちが騒ぎまくってて、さすがのみーくんもちょっと困った顔してるよ。
おーい、女子のみなさん、みーくんこまってますよー。
なんて言って助けてあげられればいいんだけど、あいにく私にはそんな度胸も勇気もないんだよね。
もうすぐ授業始まっちゃうんだけど、なんとかならないものか。
涼と千夏も、ちゃっかりその争奪戦に参加しちゃってるし。
純子は興味なさそうだけど。
「あー、みんなごめんね。俺、林先生に席は亜希の隣りって言われてるから」
本当に申し訳なさそうに言うと、女の子の悲鳴と男の子のびっくりしたような叫びで、教室が満たされた。
う、目立つの嫌いなのに。
みんなの視線が一気に突き刺さってイタい。
特に、涼と千夏の視線がコワい。