体育館12:25~私のみる景色~

 とりあえず、笑っておくべき?


 なにか用事ですか、って声をかけるべきなのかな?


 そんなふうに表情で訴えられても、感情なんて全く読めないよ。


「ちょっと来て」


 私の態度にしびれを切らしたのか、何を考えているのかわからない声で佐伯先輩が言い、私の手を握って早歩きでどこかへ行こうとする。


 足の長さ分だけリーチがあるから、手を引かれるまま走らされる羽目になったけれど。


 こんな状況だっていうのに私の頭の中は冷静で、どこに向かっているのか、周りの目は大丈夫か、そんなことを考えてた。


 ほんの少し走って、着いた先はお馴染みの第1資料室。


 そういえばここで、佐伯先輩に勉強教えてもらったんだよね。


 しごかれまくったなあ。


 だけど、何でここに連れてこられたんだろう?


 佐伯先輩は周りを見渡してそこを開け、私を引き込んでから扉をピシャリと閉めた。


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