体育館12:25~私のみる景色~

 手を離されたことでつかまれていた部分の熱が遠のいていって、今まで握られていたっていうことを自覚した。


 それと同時にさっきは感じなかった胸の心拍数が速くなって、ドクドクと心臓が脈打つ。


 もっと触れられていたかったな……。


 なんて、図々しいかな?


 おまけに、佐伯先輩と2人きり。


 勉強するのとは違う、妙な緊張感がある。


 どうしよ、どうしたらいいんだろう?


 何か話があるからこんなとこに来たんだよね?


 何を言われるんだろう。


 もうバスケ見に来るな、とか?


 メールももうしない、とか?


 ……もう関わるな、とかかな。


 考えれば考えるほどネガティブになっていく。


 佐伯先輩は何も言わないし、ドアのところで動かないままだし。


 それにもうそろそろ、お昼休みも終わる時間が近づいている。


 その時、ガチャッと鍵のかかる音がした。


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