体育館12:25~私のみる景色~

 顔がだんだん熱くなってくる。


 ここで佐伯先輩に好きって言ったら、びっくりするんだろうな。


 言えないけどね。


「宮下さん、どーなの?」


 なおも答えを迫る先輩に、私はたじたじだ。


 ここは、あれだよね……?


「のっ、ノーコメントでよろしくお願いしますっ」


 最初に、答えられることならなんでも聞いてください的なこと言ったけど、これは答えられないことに分類していいよね?


 だけど、私の返答に先輩は納得していないみたい。


 肩に置かれている手にだんだん力が入ってきているみたいで、ちょっと痛いんだけど。


 でも、触れ合っていることが嬉しいから、それは言わないでおく。


「……じゃあ、あの幼なじみとはどういう関係? 本当にただの幼なじみ?」


「それは、はい。ただの幼なじみですけどっ」


「ふうん。ねえ、宮下さん。これだけ答えて? 宮下さんは、バスケを見てるの? それとも、そこにいる誰かを見てるの……?」


 これは、絶対にどちらかを答えないといけないパターンだよね?


 もはやこの状況は拷問だ。


 佐伯先輩、どうしてこんなこと聞いてくるのっ?


< 349 / 549 >

この作品をシェア

pagetop