体育館12:25~私のみる景色~
顔がだんだん熱くなってくる。
ここで佐伯先輩に好きって言ったら、びっくりするんだろうな。
言えないけどね。
「宮下さん、どーなの?」
なおも答えを迫る先輩に、私はたじたじだ。
ここは、あれだよね……?
「のっ、ノーコメントでよろしくお願いしますっ」
最初に、答えられることならなんでも聞いてください的なこと言ったけど、これは答えられないことに分類していいよね?
だけど、私の返答に先輩は納得していないみたい。
肩に置かれている手にだんだん力が入ってきているみたいで、ちょっと痛いんだけど。
でも、触れ合っていることが嬉しいから、それは言わないでおく。
「……じゃあ、あの幼なじみとはどういう関係? 本当にただの幼なじみ?」
「それは、はい。ただの幼なじみですけどっ」
「ふうん。ねえ、宮下さん。これだけ答えて? 宮下さんは、バスケを見てるの? それとも、そこにいる誰かを見てるの……?」
これは、絶対にどちらかを答えないといけないパターンだよね?
もはやこの状況は拷問だ。
佐伯先輩、どうしてこんなこと聞いてくるのっ?