体育館12:25~私のみる景色~
まるで、犯人を問い詰める刑事と犯罪者のような図だ。
佐伯先輩の視線は真っ直ぐ私に向いていて揺らぐことがない。
ちゃんと答えないといけないよね?
だけど……。
「えっと、その前にひとついいですか?」
「ん? 何?」
「私が今の質問に答えたら、先輩も私の質問に答えてくれます?」
私だけいろんなことを知られるのはフェアじゃないでしょ?
というよりも、佐伯先輩のことを知りたいからっていうのが1番の理由なんだけれど。
ううん、それ以上に、私が変わりたいっていうのが最大の理由かな。
考えるそぶりを見せた後、困ったように佐伯先輩は笑った。
「質問によるかな」
これは、私の運命を大きく動かすかもしれない質問なんだよね。
大げさかもしれないけれど、私にとってはそれくらい重要なこと。
「じゃあ質問するんで、答えられるか無理かだけ教えてくださいね?」
「わかったよ」
ゴクリと唾液を飲み込んで、一か八かの質問をする。
「佐伯先輩の好きな人は、どんな人ですか……?」