体育館12:25~私のみる景色~

 ひとりで舞い上がって、それで落ち込んでバカみたい。


 なんだかもう、何を考えてるのかもぐちゃぐちゃでわけがわからない。


 本人の口から聞いたわけじゃないから、確定事項ではないけれど、ほぼ確定だよねこれは。


 もし、好きな人がいないって言うなら、まだ望みはあったと思う。


 そうしたらみんなゼロからのスタートで、私は少しリードしてるくらいの位置にいたと思う。


 だけど、佐伯先輩に好きな人がいる時点でスタート位置にはもう立てない。


 だって、佐伯先輩みたいな人に告白されて断る人なんてまずいないだろうから。


 告白したところで私は玉砕。


 でも、伝えるだけならいつか伝えたいと思うけど。


「佐伯先輩、好きな人いるんですね? 応援してます」


 作った微笑みを浮かべながら心にもないことを言って、応援したフリ。


 それくらいしか言うことがないもん。


 佐伯先輩の幸せを願いたいけど、心からそう思えるまでは時間がかかりそうだね。


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