体育館12:25~私のみる景色~
「ミナミも亜希と同じとこまでできっから、宙返りだけとりあえず練習な。次いつ体育館とれるかわからねえし。ほかのヤツらは教室戻って衣装とか作っといてくれ」
え、宙返り今から練習するの?
みんなは出て行っちゃうし、残ってるのは佐伯先輩、慶ちゃん先輩、ミナミ先輩と私。
先輩に囲まれるって、すごい緊張するんだけどっ。
でも、ダンスやっててよかった!
そのおかげで佐伯先輩との時間が増えるんだからっ。
「亜希ちゃん、亜希ちゃん! みんなさっき見とれてたよ? 宙返りがんばろーね!」
み、見とれてた?
それは絶対ないっ。
「は、はい? とりあえず頑張りましょー! だけど、宙返りって難しいですよね?」
言っちゃうと、できるかどうか心配。
宙返りって、何か月も練習必要って聞いた気がするんだけど。
空中感覚とか、そういうのを身につけないとだめだし。
1か月もないのに、できるようになるのか。
できたとして、きちんと先輩たちと合わせられるのか不安だ。
「できなかったらバク転まででいいぜ? そこまで続けてできるのは女子でお前らだけだし、パフォーマンスなんていくらでも変えられっから」
励ますように慶ちゃん先輩は言ってくれるけど、パフォーマンス変えられるなら、これやめてみんなができるやつに変えればいいのに。
というか慶ちゃん先輩と佐伯先輩だけでこれやっても十分盛り上がるんじゃない?
なんて思ったけど、そこはこだわりなんだろうと思って口をつぐんでおいた。