体育館12:25~私のみる景色~
ギャラリーには、まだ人がまばらだった。
体育館内は飲食禁止だから、早く食べて来ないとあっという間に狭いギャラリーは女の子で埋まってしまう。
さすがに昼休み開始から15分たったくらいじゃ、普通の女の子はまだ食べ終わらないからね。
先輩を見やすい場所に移動して、時計を見ると26分すぎくらい。
試合は始まったばかりみたい。
「先輩、かっこいいな……」
佐伯先輩を見ながらぽつりとひとりごとをもらす。
無駄のない動きで相手をかわしてシュートを決める姿は、私にはキラキラ光って見える。
それに。
「恭也、ナイシューッ!」
佐伯先輩がシュートを決めて、仲間が声をかけたあとに見せる笑顔。
クールで滅多に笑わない先輩が見せる満面の笑みに、毎回心臓がきゅっとなる。