体育館12:25~私のみる景色~
自転車に乗って駅に向かってる間、みんな無言だった。
中原先輩につかまりながら、今日のことを思い返す。
まさかこんなふうに、校内人気ツートップの先輩と話すことになるなんて思わなかったし。
それに、ギャラリーから見ていただけだった時よりも、佐伯先輩のことを好きになったって思う。
中原先輩も、ちょっと口は悪いけど見かけによらずいい人で。
佐伯先輩は、ウワサと違って意外と普通に喋ってくれた。
今まで知らなかった一面を見ることができた。
まさか、私がギャラリーからバスケを見ているってことを知られてるとは思わなかったけど。
こうやって話すきっかけがどんくさいけど、結果オーライ、かな?
だけどやっぱり、こんなふうに関わりを持つことになるくらいだったら、一生関わりを持たないでいるか、もっと前から覚悟決めて積極的に私の存在アピールしてればよかったかな、なんて思って落ち込んだ。
脱力しながらため息を吐いて、中原先輩の背中に寄りかかった。