体育館12:25~私のみる景色~
負けたくないです
「今日も、か……」
嵐の前の静けさって、こういうことだったんだ。
私は今日も、自分の靴箱の前でため息をついている。
なんでかというと、文化祭が終わってから毎日毎日同じ言葉が書かれた紙切れが1枚、私の靴箱の中に入っているから。
飽きもせず、本当に毎日放り込まれている。
それも今日で通算2週間目。
初めてその紙を見たときは、恐怖しかなくて冷や汗が止まらなかった。
パソコンで打ち出された機械的な文字の羅列は、手書きよりも、それこそ血文字よりも怖いとさえ感じた。
『調子に乗ってると、殺すよ?』
もう見慣れてしまったこの不吉な紙切れ。
原因はたぶんだけど、わかっているつもり。
あの時のことが、きっと原因だと思う。
それから、これを送りつけているのが誰かっていうのも予想がついてる。
ーーー文化祭のとき。
佐伯先輩と2人で話していたとき。
それがきっと原因なんだ。