体育館12:25~私のみる景色~
起き上がろうとした私を優しくベッドに沈めたりんちゃんは、「3日。3日間ずっと目を覚まさなかったんだよ」と、悲しそうに目をふせた。
どうやら高熱で意識が朦朧としていたらしい。
あんなに寒かったんだから、風邪をひいて当たり前だよね。
というか、そんなに寝てたってことにびっくりなんだけれど。
それに、なんでりんちゃんがそんな顔してるの?
「あ、今いつもの3人と、七種が来てるぞ。宮下が死んじゃうかも~なんてあいつらずっとぼろ泣きし続けてさすがにうっとうしいから、ロビーにいさせてたんだ。呼んできてやる。親御さんも昨日までずっと近くにいてくれてたんだけど、さすがに今日は仕事休めないからって。連絡しといてやるからな」
暗い顔をした理由も聞けないままに、りんちゃんは出て行ってしまった。
「あ~き~ぃぃぃぃ!」
りんちゃんが出て行ってからわずか数分後に、凉たちは猛ダッシュで現れた。
それはもう、ドアが壊れるんじゃないかってくらいの勢いで。
看護士さんの「病院内ではお静かに!」って怒りを含んだ声が飛んでいたのに、そんなことにはおかまいなしって感じの3人にギュッと抱きしめられた。
「本当にバカ! 心配したんだからね!?」
「うん、ごめんね」
わんわんと泣き喚く凉に、黙ってぽろぽろと涙を流す千夏、めったに表情を崩さない純子でさえもその目には涙の跡があった。
そして、その後ろから、ほっとした顔のみーくんもひょっこりと顔をのぞかせた。
「いや、さすがに俺もビビったよね。でも、生きてて安心した」
そう言ってぽんぽんと頭をなでてくれるみーくん。
そっか、こうやってみんなの姿を見てわかる。
すごく、心配かけちゃったんだね……。