体育館12:25~私のみる景色~

 でも、私のことを心配してくれてるってわかって、すごく嬉しい。


 ほんと、友達に恵まれたよね。


 にこにこと笑っていると、さっきまで泣いていたとは思えない様子で、凉は怒りをあらわにした。


「それにしても、藤村許せない! こんなことして許されると思ってんのかしら!」


「まあまあ、そのことは佐伯センパイが手を回してるって」


 そんな凉をなだめるみーくんの言葉に、疑問。


 なんでそこで佐伯先輩が出てくるんだろう?


「亜希、あのね? 佐伯先輩、気づいてたみたいだよ……? その、亜希が藤村サエさんに嫌がらせされてるってこと」


「え……?」


 首を傾げる私に、千夏がおずおずと教えてくれた。


 なんで、佐伯先輩が知ってるの?


 私、一言もそんなこと言ってないのに……。


「まあ、あれだ。亜希はわかりやすいからな。それに佐伯とやらが亜希のことを……ふぐうっ!」


「バッカ純子! それは禁句なの、秘密なの! あたしが佐伯先輩にシメられるからっ! あははー、亜希? 今のは何でもないからね?」


 むむぅ、何か佐伯先輩についての内緒ごと?


 ずるい、いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの?


「亜希が心配することはなあんにもないから安心してねぇ? 佐伯先輩って鋭いよね、ってだけの話だよお。ね? 七種くんっ」


「おう」


 ……まあ、みんながそういうなら気にしないでおこうっと。


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