体育館12:25~私のみる景色~

 私、佐伯先輩に心配されるくらいは好かれてるって、そう思ってもいいのかな?


 こんな目にあったのに、浮かれすぎかな?


 なんだっていい。


 私を探してくれて、見つけてくれた。


 この事実だけで、私は満たされているから。


「凉、振られた時には慰めてね?」


 卒業式、私は佐伯先輩に告白する。


 結果がだめでも、佐伯先輩には大切なことをたくさん教えてもらった。


 たくさんの思い出をもらった。


 その気持ちをすべて、伝えたい。


「ふふふ、亜希はほんとにかわいいなあ! それにしても、佐伯先輩はこんなにも鋭いってのに、中原先輩は相当な鈍感だね」


「千夏もそう思う~。気持ち的には互角だと思ってるんだけど~」


「鈍さは亜希と同等ってとこね。……ていうか、亜希が振られるわけないし」


「だよね、見ててわかるのに。じれったーい!」


 凉と千夏の会話は理解できなかったけど、私は私で頑張ろうと思う。


「……七種、どんまいだな」


「……うるさい。実際こんなはっきり聞くとキツイもんだね」


 純子とみーくんが小さな声でこんなことを言っているなんて、決意を固める私にはもちろん聞こえていなかった。


< 498 / 549 >

この作品をシェア

pagetop