体育館12:25~私のみる景色~
私、佐伯先輩に心配されるくらいは好かれてるって、そう思ってもいいのかな?
こんな目にあったのに、浮かれすぎかな?
なんだっていい。
私を探してくれて、見つけてくれた。
この事実だけで、私は満たされているから。
「凉、振られた時には慰めてね?」
卒業式、私は佐伯先輩に告白する。
結果がだめでも、佐伯先輩には大切なことをたくさん教えてもらった。
たくさんの思い出をもらった。
その気持ちをすべて、伝えたい。
「ふふふ、亜希はほんとにかわいいなあ! それにしても、佐伯先輩はこんなにも鋭いってのに、中原先輩は相当な鈍感だね」
「千夏もそう思う~。気持ち的には互角だと思ってるんだけど~」
「鈍さは亜希と同等ってとこね。……ていうか、亜希が振られるわけないし」
「だよね、見ててわかるのに。じれったーい!」
凉と千夏の会話は理解できなかったけど、私は私で頑張ろうと思う。
「……七種、どんまいだな」
「……うるさい。実際こんなはっきり聞くとキツイもんだね」
純子とみーくんが小さな声でこんなことを言っているなんて、決意を固める私にはもちろん聞こえていなかった。