体育館12:25~私のみる景色~
でも、先輩が飛ばしてくれたおかげで、5分もかからないで学校に着けた。
あと数分で授業始まるけど、走れば余裕!
先輩に感謝だねっ。
「先輩っ! ありがとーございましたっ」
ほんとに先輩のおかげで助かったよ~。
でも。
「送ってくれてありがとでした! でも、これからは、私には関わらないでくださいね~!! それじゃあ、さよならっ」
言うなり荷台から飛び降りた。
かなり失礼だけど、私だってまだ命は惜しいもんね!
女子の嫉妬はこわいんだよっ。
「は!? あ、てめ、逃げんじゃねえぞコラアァァァァ!!」
なんて、中原先輩の怒声が聞こえた。
だけど、すでに全速力で走ってた私に、気づけるわけがなかったんだ。
「……逃すと思うなよ? あんの気まぐれ猫が」
なんて、ニヒルな笑みを浮かべた中原先輩が、こんな不吉な言葉を呟いていたことになんて。