体育館12:25~私のみる景色~
「ハイ、宮下さん。ニヤニヤしてないで授業ちゃんと聞いてくださいね? ついでに、ケータイも没収。」
幸せな気分にひたっていた私を現実世界に連れ戻したのは、いつの間にか目の前に立っていたりんちゃんだった。
しかも、いつもと違って喋り方もイヤにきれいで、静かに怒ってるんだってわかった。
うえ~、りんちゃん怖いよー……。
だって、口は笑ってるのに、目は全然笑ってないんだもん!
りんちゃんは身体をかがめて、私にだけ聞こえるように耳元でささやいた。
「宮下、お前朝のホームルームもさぼっといて、いい度胸してんな。昼休み、職員室来いよ」
教師らしからぬ言葉遣いでそう言って、教卓の方へ戻っていった。
その足取りはなんだかご機嫌そうだけど……。
り、りんちゃん、こわすぎっ!
こわすぎだからっ!!
恋愛小説とかでは、耳元でささやかれてドキっ、みたいなこと書いてあったけど、違う意味でドキドキしたよお~。
ケータイもとられちゃったし、昼休みにバスケ見れないしぃ。
りんちゃんのバカああああ!!!