体育館12:25~私のみる景色~
りんちゃんはあからさまに息を深く吐き出した。
「そうじゃなくてよー。宮下が寝坊とか珍しいだろ? 別に怒ってるわけじゃねえし。何かあって寝られなかったんじゃないのか?」
その目には、心配の色が見える。
さすが、熱血教師。
些細なことでも見逃さないんだね。
でもさ、心配してくれてたんなら、何もあんなふうに脅さなくてもよかったのに。
「ん~、あったといえばあったけど、りんちゃんの心配するようなことじゃないですよ?」
だって、恋愛のことだもんね。
さすがにりんちゃんにそんなこと言えないから、ごまかしたけど。
「ふうん、ならいーけど。恋愛にうつつ抜かしすぎて成績おとすなよ~」
ニヤリ、という効果音がぴったりな笑みを浮かべてりんちゃんは言った。
え、ていうか、バレバレってわけ!?
なんだか恥ずかしくなって、顔に熱が集まってきた。