体育館12:25~私のみる景色~
「あのね、私。本当は、ずっと自信がなくて。先輩のことを好きな子がたくさんいるのは知ってるけど、その子たちみんな、すごく可愛い子たちばっかりだから……」
ここまで言って、声が詰まってしまう。
今まで、何かと理由をつけて、ごまかしてきたんだ。
「私、みんなみたいに可愛くないしっ! こんな私が先輩にいくらアピールしても、見向きもされないと思うの!」
話しかけても、何も答えてくれなかったら。
無視されたら。
好きな人にそんな態度をとられたりするのは、すごくつらいから。
現に私は何度も耳にしてる。
佐伯先輩を好きな人がアピールして、告白した、その末路を。
取り合ってもらえない、って泣いた女の子が何人もいることを。
そうなるくらいなら、見てるだけでいいって。
「だ、だから、私。自分に自信が持てないし、こわいの……」
みんなに初めて言う、本音だった。