体育館12:25~私のみる景色~

 純子に抱きついて、胸にスリスリと頬ずりした。


「はいは~い! ニブ子ちゃんな亜希には、千夏が教えてあげまぁす!」


 そんな私の様子を見ていた千夏がノリノリで喋り始めた。


「亜希ね、自分はモテないなんてバカなこと思ってるみたいだけど、実は亜希がうちらの中で1番モテてまぁすっ」


 ……なにごと?


 私が1番モテてる?


「そんなわけないじゃん! 今まで告白されたこともないんだよ!?」


 ありえない嘘にじゃっかん怒りがめばえた。


「はあ。まあ、亜希が信じられないのもわかるけど。でもコレ、事実だよ」


 眉を下げて困ったように笑いながら涼が言う。


 そんなこと言われても信じられるわけないもん。


 純子にギュッと抱きつきながら、そう思った。


< 88 / 549 >

この作品をシェア

pagetop