体育館12:25~私のみる景色~

「亜希、本当にに可愛いな。でもな、ほんとだぞ?」


 なにが、と思って顔をあげて純子を見つめた。


「告白されないのはな、亜希がいつも昼休みはダッシュでいなくなるし、放課後は私たちといることが多いからだぞ。男どもには亜希に近づくタイミングが全然ないんだ」


 微笑みながら言われて、顔が赤くなるのを感じる。


 純子は女の子なんだけど、中性的な顔をしててきれいでかっこいい。


 そんな顔がすぐ近くにあったら、いくら女の子ってわかっててもドキドキしちゃうよっ!


「それに亜希、メアドとかも男子の全然知らないよねえ? この前だって、『ケータイ教えてください』って言ってきた男子に、ご丁寧に機種教えてたもんねえ?」


 ぷぷっ、と口に手を当てながら千夏が笑った。


「あぁ、あの時はほんとウケた! うちら4人でいるときに話しかけるなんて、今まで誰もいなかったのに。勇気あったよね、あの人!!」


「だけど、あれは少しかわいそうだったな。男は顔真っ赤で涙目だったもんな」


 ちょっとよくわかんないけど、3人はなんだか楽しそうだ。


「もう、何がそんなにおもしろいのっ!?」


 純子から離れて、ちょっとすねた口調で言った。


 私にもわかるようにちゃんと話してよっ!


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