身代わり姫君の異世界恋綺譚
「あの……騒がせてしまって、ごめんなさい……もう大丈夫ですから」

「申し訳ございませんでした。
2度とこのような事がないようにいたします」

もう一度真白に頭を下げた時、御簾の内側から紫鬼がゆっくりと姿を現した。

「これは……紫鬼様」

藤は紫鬼を見ると、更に深く頭を下げる。

清蘭に仕えていた藤は当時、紫鬼の姿を良く見かけていた。

女房の中で、一番紫鬼と面識があると言っても過言ではない。

「藤、真白は私の特別な人だ。真白が悲しむ所は見たくない。今後、真白に何かあれば私が許さない」

――と、特別な人って……。

紫鬼の言葉を聞いていた真白は赤面してしまう。

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